安定的な皇位継承への道を阻む最大の障害は何か?
現在の皇位継承順序を絶対視して、これを変更しない
範囲で対応する、という考え方だ。この考え方を前提にすると、是正されるべき皇位継承ルールの
構造的な欠陥には手がつけられず、目先だけの
皇族数確保策しか出てこない。しかし残念ながら、皇位継承順序を変更することは
秋篠宮家に非礼である、お気の毒で申し訳ない、
といった心情論が大きな影響力を持つのが政治の世界だ。そこで見逃してはならないことがある。
それは、天皇·皇后両陛下にお子様がいらっしゃるにも拘らず、
ただ「女性だから」というだけの理由で予め皇位継承ラインから
除外するという、当たり前に考えて極めて不自然な皇位継承順序を
絶対視するムード自体が、政府によって演出されたものだ、
という事実だ。本来なら、上皇陛下のご譲位を可能にした特例法が成立した
平成29年6月の時点で、直ちに安定的な皇位継承を目指すという
“次の課題”に取り組むのが、当然だった。ところが、附帯決議によって、平成31年4月末以降に先延ばしされた。
だけでなく、御代替わりに関わる一連の儀式の終わる迄先延ばしされた。
だけでなく、更に秋篠宮殿下についての「立皇嗣の礼」という
前代未聞の儀式迄案出して(令和2年11月8日)、
それが終わってからやっと有識者会議を立ち上げるという
先延ばしぶりだった(第1回会合は令和3年3月23日)。これによって、議論はスタートラインから、
秋篠宮殿下が皇嗣でいらっしゃる、
それは動かしてはならない前提である、という間違った
先入観が強烈に刷り込まれることになった。しかし、普通に考えて、平成時代の間に安定的な
皇位継承についてまともな検討が終えられていれば、
令和元年から「皇太子が不在」という異常な状態で始まることもなかった。敬宮殿下が皇太子で、天皇陛下の一連の儀式が終れば、
次はご成年を迎えて晴れて「立太子の礼」が執り行われるという
順序だったはずだ(裕仁親王=昭和天皇は未成年で
立太子礼を行われたが、これは大正天皇のご病状が
進んでおられた為の異例)。秋篠宮殿下は早くから即位を望んでおられないという
メッセージを発信してこられた。
立皇嗣の礼にも乗り気でなかったご様子が、
江森敬治氏の『秋篠宮』(令和4年)にリアルに描かれている。男系男子限定ルールを維持したままの皇室が、
悠仁親王殿下の将来をどれだけ不幸にしてしまいかねないか。
秋篠宮家のどなたもが、それを深く案じておられることは
容易く想像できるはずだ。今の皇位継承順序を見直すことは、
誰よりも秋篠宮家の皆様が強く望んでおられることではあるまいか。追記
①プレジデントオンライン「高森明勅の皇室ウォッチ」
今月は前倒しで8月19日公開。
②8月20日発売の「女性自身」にコメントが掲載される。【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/
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